Nara de Rock'n'Roll 3rd

京都の大学生の独り言……

2023/12/15

ご無沙汰しております。厭世居士です。

 

近況報告ですが、遂に今日、卒業論文が完成致しました!いやー、この数ヶ月、執筆までの道のりは艱難辛苦を極めるものでした。朝は鶏が時を告げる前に目を覚まし、座禅とヨガで乱れた精神を浄化するところから始まります。それから下宿の裏山からギラリと光る黒曜石を掘り出し、鋭く立派な矢尻に仕立てあげるのです。鴨川を旋回するトンビ目掛けて弓を引き、仕留めることが出来たらそれが朝食です。昼間はひたすら克己勉励。ひたすら執筆を重ねた結果、右手の中指に出来たペンだこは数知れず。それらは毎度気付けば大きく腫れ上がり、爆発してはテロリズムに打ちひしがれる現代西欧社会の如く、私の右手はあらゆる機能を失ってしまうのです。そんな晩には、私は読書に専念しました。ろうそくに小さな火を灯し、窓の外に雪が降り積もるのを眺めながら、薄茶けたホコリの匂いのするページをひたすらにめくっていたのでした。いやぁ、懐かしいものですなあ。

 

さて、卒業論文ですが、今回方法論としては私の専攻する日本考古学の通例に則ることはせず、現代社会学の実践方法すなわち生活史の現象学的聞き取り調査を選択致しました。テーマは「村上春樹が好きな女に関する基礎的考察」と題し、当事者に対するインタビューを重ねていきました。

第一章では先行研究を比較し、村上春樹が描く女性像を現在のジェンダー観で分析することの不当性を明らかにした上で、村上春樹が好きな女のだらしないけどかわいらしい感じを問題意識として提示します。

第二章では村上春樹が好きな女の持つ諸特徴を純潔性と淫乱性に分類・整理した後、それらの諸特徴が男子大学生の心象においてどのように位置づけられるのかをを検討しました。

第三章では前章の理論付けとして「村上春樹のフィードバック効果」を提唱ました。村上春樹が読者に淫乱性を付与し、また一方で淫乱性を備えた読者が村上春樹を読みたがる傾向を指摘することで、彼女が村上春樹を読むのは村上春樹を読むからだ、という古来からある「村上春樹パラドックス」に対する解答的予察を提示できたと思います。

第四章は上の三章をまとめたのち、村上春樹の読者の広がり方を「伝播型」ではなく「憧憬型」である事実を提示します。村上春樹が好きな女に憧れて村上春樹を読み、村上春樹の淫乱性の毒気に当てられて命を落とす男子大学生が後を絶たない世界情勢に警鐘を鳴らしました。

 

我ながら良い感じにまとまった良い構成だったと思います(自慢)。さて、まあ論文も書き終わったし、一段落です。これで年末ゆっくり出来ますね。とはいえ年末までにやらなければならないことも少なからずあって、こんなクソ記事を書いてる暇を削ってきちんと卒業論文を書き上げなければならないわけです。やんなっちゃうよ、ホントに、もう。嗚呼、疾風怒濤の青春よ。私をどこへ連れて行く。

 

厭世居士 なんか俺、感情ってものを通り越した気ぃするわ。なんていうか、無、みたいな。とかゆうてますけども……