Nara de Rock'n'Roll 3rd

京都の大学生の独り言……

怒りの河原町、人畜無害は有害だ!

ご無沙汰してます。和田です。(もう本名でいいや)

 


先週、今週、来週と3週連続で学会です。来週は俺も発表させてもらうことになったので、ホントは今ももっと頑張ってなければいけないはずです。

 


本格的な学会に参加させてもらうようになってとても痛感することですが、人とのコミュニケーションって大事だなって思います。まあ、当然なんですけど。

 


豊かな見識を持っている人との会話は本を読むよりも遙かに勉強になりますし、そもそも詳しい人に聞くことで何の本を読めばいいか、どんな勉強をしたらいいかがわかってくるわけです。

 


巷では「勉強は陰キャに与えられた最後の武器」的な言説を(稀に)耳にしますが、残念ながらそれは間違っています。コミュ力がすべてなのです。たくさんの人に話しかけて話を聞く方が、一人で黙々と勉強と勉強している奴なんかよりも遙かに良質なテキストに効率的にアクセスできる訳です。やはり人間てのは社会的動物なんですねえ。

 


腹を割って話せるっていうところで、飲みの席ってのはやっぱりそれなりの意味があります。

 


昨日もたくさんの方とお話ししましたが、特に俺の10コ程上の研究室の先輩(今では高名な研究者として活躍されている方)と熱い議論を交わすことが出来ました。その方もだいぶ酔いが回っていたようで、お前は勉強不足だね的なことを散々言ったあげく、「○○センセ~こっちきて~♡」って女子学生に連れられて話の着地点を示さぬまま席を離れたときは割とイラッとしましたが、悔しいけど普通にすごく勉強になりました。専門家に「これってどういうことですか」「これっておかしくないですか」と厚顔無恥に訊けるのはお酒のおかげです。

 


昨日の飲み会で俺がいた卓は他大学の学生がたくさん集まっていて、しかもほとんど同期でした。志を同じくする友人が多く出来たのは素直にうれしかったです。ただ、みんなそれなりに研究は出来るんだろうし、俺よりも優秀な同期も結構居るとは思うんだけど、なんか少し腹がたつことがあってですね……

 


考古学の詳しい話になってしまいますが、考古学の発掘調査ってのは普通は県や市といった自治体がやるんですけど、考古学を専攻している学生ってそういった自治体に雇われて発掘調査作業員としてアルバイトに就くことがおおいんです。ただ、その学生バイトの条件って結構ひどくて、基本的には最低賃金で交通費はゼロ。俺が今いってるバイトの場合は、往復5時間かけて通勤して、一日中ほぼ肉体労働で日給3000円ほど(交通費抜いて)。まあ普通にやばいよね。

 


ただ、こうした現場経験って学生にとってはとても貴重な勉強の機会で、自治体も少ない予算で頑張って学生を現場に入れてくれているって側面がある。つまり業界全体が未来の埋蔵文化財行政を担うだろう学生をバイトという形で育てているところがあって、学生の発掘バイトは自治体の善意で雇ってもらってるともいえる。

 


たださ、「善意で勉強させてもらってる」って側面と「不当な労働条件」ってのは話が別でさ、こういう現状ってどうなん? 俺たち若手が変えていかなきゃねって話を同期たちにしたらみんなぽかんとしてやがんの。

 


「働かせてもらってるだけでありがたい」とか「僕らの上の世代は無給で働かされていたんだから文句は言えないよ」とか……

 


はぁ~? ふざけんなよばかやろう。このくそ坊ちゃんが。

 


これはただ単におまえらのお小遣いの話をしてるんじゃないの。俺らよりもっと下の世代のありかたにも直結してくるはなしなの!

 


ただでさえ文化財行政を取り巻く状況なんか悪化してるんだから、これから勝手に条件が良くなることなんか無いの、俺らの後輩は無給で働かされるかもしれない。上の世代とは学費も物価も社会を取り巻く環境も全然違うんだぜ?下の社会は金持ちの家の坊ちゃんがボランティア的に歴史を勉強するマジのディストピアになるぜ?

 


なぁにが「おれの技術なんか使い物にならないから、現場でお荷物だから」とか弱気なこと言ってんだよ。専門技能で仕事しながら大学院に進学する時点でお前は立派なエリートなんだよ!!エリートが不遇でどうするよ?!お前はいいかもしれないけど、文化財行政の未来を考えたらそれじゃあだめなんだよ!

 


なぁにが「和田くん、酔うとケッコウ言うねぇ~」だバカやろう!こちとら憂国の公憤じゃ!なんで俺を冷笑するんだ。いくら日和見気取ってても不当な構造を受け入れた時点で未来からしたらお前は不当だ!

 


要するにおまえらは歴史オタクなだけなんだよ。大好きな歴史を勉強させてもらってるから金はいらないとかいってんじゃねえ、そりゃいらねえよそんなキモオタにやる税金なんかないわ!!

 

歴史ってのは人文学なんだよ。なんでそう視野が狭いかね。ガザの空爆に何も感じないで、既存のシステムを妄信して、政治家や行政が決めたルールに何の疑問も抱かないで、自分の業界の未来さえ考えられないで、なにが人文学だよ。

 


人文学は既存の土俵で戦っちゃいけないんだよ。人文学なんて政治や行政に何も寄与しないんだから。正当なストライキなんて意味ねえよ。そうですか、じゃあ掘りません、思う存分に都市開発しますになるだけだろ。そうやって人文学が舐められて、歴史がアカデミアの手を離れて政治ものもになって、政治的扇動に都合いい歴史が出来上がって、社会が分断されるわけだ。じゃあ人文学なんてマジでやってる意味ないじゃん。

 


俺はマスコミに就職してメディアの側からこの現状を変えてやるよ。なんだかんだいって文化財は好きだからね。

 


でもおまえらはなんなん?アカデミアに残って学界を引っ張る未来あるおまえらが問題意識すらもってないでどうすんねん!!

 

ひよってんじゃねえよ。いい子ぶってんじゃねえよ。自己犠牲は不当な構造を継承する悪事だぜ。