Nara de Rock'n'Roll 3rd

京都の大学生の独り言……

ChatGPTとあれこれ

祖母の三回忌でして、普段会うことのない親戚と多く話す機会がありました。

 

その親戚たちと、積み立てNISAがどうのとか車検がどうのとか色々話していて、子供の時は何を言っているのかわからなかった「親戚のオヤジたちの会話」にいつの間にか自分も参加していることに気がついて、ああ俺も成長した(というより老けた)なと感じました。

 

ただそのオヤジたちから結構言われたのは、お前5Gってどう思うんだとか、ChatGPTってなんなんだとかそういうことで、みんな最新技術に対するZ世代の感覚みたいなのを知りたいらしいです。

 

ところでそのChatGPTですが、もうすごいとしか言えないですよね。ここ数ヶ月でAIのレベルが段違いに上がってるじゃないですか。「~みたいなソフトを作りたいから──の言語でプログラムを書け」とか「~と──の要素を入れて小説を書け」とかそのくらいの指示に数秒で答えが出て来ますもんね。授業の感想とか要約とか全部ChatGPTに任せてる友人も周りにはいたりします。

 

自分もとある新聞社のインターンでインタビュー記事を書いたのですが、ふと面白半分で聞き取った要素を元にChatGPTにも記事を書かせてみたところ、俺の文章よりもわかりやすいと友人に言われてぶち切れたことがあります。まあともかく表現力とか想像力とか、これまで「人間らしいスキル」と考えられてきた所までAIに奪われてしまっているのが現状ですから、「人間にしかできないこととは何か」っていうのはマジで個人個人が考えないといけない問題だと思います。冗談抜きでホワイトカラーのほとんどの仕事は食われると思う。

 

ただ、ChatGPTもいろいろ遊んでみるとおかしな所はたくさんあるんですよね。

 

たとえば文体や口調を真似るのは苦手みたいです。司馬遼太郎とか涼宮ハルヒとかDiggy-MO'とかの真似をさせていろいろ言わせてみましたけど、「古代日本のある民家にはお爺さんとお婆さんがいた──」だとか「私、涼宮ハルヒだけど、今の日本ってなんか窮屈じゃない?──」とか、あたらずとも遠からずなんですよね。「Diggy-MO'だYO!」って言ってましたからね。「なんとなくのイメージで語ってる人」感が満載です。おそらくはネット上にデータとして転がってる小説や歌詞が少なすぎるからなのでしょう。あとはダジャレや韻踏みも無理でしたね。そこは意外でした。

 

あとはこいつ、普通に間違った情報流します。

 

オレ「氷室京介布袋寅泰の関係性を知りたい」

 

ChatGPT「氷室京介布袋寅泰は、日本の音楽界で活躍する2人のミュージシャンで、1980年代から1990年代にかけて活躍しました。

氷室京介布袋寅泰は、1980年代後半にX JAPANのメンバーとして知られていました。その後、氷室京介SOFT BALLETを結成し、布袋寅泰BOØWYを結成しました。その後、両者はソロ活動を開始し、その後も時折共演することがありました。

1994年、氷室京介布袋寅泰は、『KISS ME』という楽曲でコラボレーションし、大きな話題を呼びました。この曲は、日本の音楽シーンに多大な影響を与え、今でも多くの人々に愛されています。

その後、両者は共演する機会があり、時には競演することもありました。彼らの音楽的なコラボレーションは、多くの人々にとって不朽の名曲として記憶されています。

 

わかる人にはわかるとおもいますが、もうめちゃくちゃです。当然二人ともX JAPANでは無いですし、BOOWY解散後の二人は一切交流がなく、ましてや楽曲でコラボしたなんてあり得ないわけです。

 

この辺は明らかに嘘とわかるので良いですけど、わかりづらいとこを突かれると、ホントに真に受けてしまいそうで怖いです。

 

たとえば私が以前勉強していた分銅形土製品という遺物についてChatGPTで聞いてみると、2021年に最新の論文が出ているとのことでした。(CiNiiでは分銅形土製品に関する最新の論文は2014年のものです)詳細を詳しく尋ねてみるとこう返答がありました。

 

私が前回回答した情報の出所は、2021年に発行された『考古学雑誌』の特集号「分銅形土製品の新たな展開」です。この特集号には、分銅形土製品に関する最新の研究が複数掲載されています。具体的には、以下の論文が掲載されています。

  • 縄文時代前期における収穫物の計量と分配―宮城県加美郡における遺跡群の分銅形土製品を中心に―」(武田彰浩・浜野由紀子・松尾浩司)
  • 青森県における分銅形土製品の出土とその特徴」(長谷川敬司)
  • 山形県における分銅形土製品の出土とその特徴」(佐々木直己)
  • 新潟県北部における縄文時代前期の分銅形土製品と古墳時代前期の石棺」(福島啓太郎)

この特集号は、日本考古学協会が発行しています。

 

恐ろしいことにこんな論文存在しないんすよ。武田彰浩も長谷川敬司も佐々木直己も、そんな考古学者いないんすよ。(「考古学雑誌」という雑誌や「日本考古学協会」という団体は存在しますが)

 

分銅形土製品は弥生の中国四国地方の遺物なので、これが全くのデタラメってのは少し勉強すればわかるんですけど、未知分野だったらこんなに堂々とそれっぽい論文を言われると信じてしまいそうです。

 

ChatGPTは超有能なAIだとは思いますが、その情報は鵜呑みにしちゃいけません。信憑性の他にも個人情報や著作権など色々とクリアすべき問題は山積みだと思います。ただやはり、こいつの使い道次第で他者にアドバンテージをとるかディスアドバンテージをとるかっていう時代になってきているのは確実です。こいつのせいで頭を抱えている人は大勢いることでしょう。生まれてきてしまってホント厄介な問題児だと思います。