って思います。だって一番面白いところをかっさらっていくんですもの。明治維新や終戦直後に青春を迎えられた人は幸運です。好奇心の赴くままに思索を働かせていれば、それがそのまま新たな学問になり文学になり哲学になるのだから。
現代の文化活動は総じて洗練されすぎていけません。なにをするにしても、個人ができるのは細分化された仕事のみ。今の学者は歴史を語る能わず、○○時代の△△地域の××の□□性について語るのです。もはや作家は真摯な芸術表現のみでは糊口を凌げず、○○というジャンルの雑誌「△△」の××新人賞に向けた作品を書かなければそもそも作家を名乗ることすら許されないわけです。
今の社会はこれまでの蓄積がたんまりありますから、大きな設計図を描く人はそんなに多くいりません。むしろ既存の建物の一室をちまちまといじくる仕事を分業的にやらされるわけです。
ああ悲劇かな、人類は。文化を人間的に煮詰めすぎて、残されたのは非人間的な労働のみ!悲しきかな現代社会!!
──というのは冗談として、先日手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を読みました。このマンガは手塚治虫の最晩年に書かれた作品でファンの中では最高傑作と名高い、そうです。
僕ら世代にとって手塚治虫はほとんど歴史上の人物なので、半ば古典を読むような感覚でページをめくっていたわけですが、これがまあ現代でもバリバリに通用する面白さなわけです。各所に張り巡らされた伏線、思わぬ関係が交差する人間模様、莫逆の友を敵に変えてしまう運命のいたずら……手塚ワールドというにふさわしい宇宙観が私の心を掴んで離さず、夢中で読み進めました。そして最後のタイトル回収!あそこはもうサブカルオタクとしてはもう気持ちよすぎましたね。ほぼイキかけました。
久々にマンガでも読みたいと思ってる方、是非お読みください。